繊細な感覚のロボットハンド。事前に情報のない対象物も認識。家庭用のサービスロボットへの応用で、各家庭の特徴に自らが適応できるロボット開発が期待される
NRW州北東部に位置するビーレフェルト大学の認知インタラクティブテクノロジー・エクセレンスクラスター(CITEC)内の研究チームが、大規模プロジェクト「Famula」(Deep Familarization and Learning Grounded in Cooperative Manual Action and Language)枠内で、グリップラーニングシステムの開発を開始した。ロボットが初めて遭遇する物体に対して、自律的に情報や知識を習得することを目指す。
そのため研究者は人間の手を模倣しロボットハンドを設計した。ロボットは試行錯誤による学習とその結果を記憶することで、個々の物体を如何に扱うかという経験を集める。こうしてロボットハンドは物体の詳細な特性を事前に知らなくとも、人間の手のように、ナイフ、フォーク、食品などの日常品を正確に掴む繊細な感覚を習得する。
この「Famula」プロジェクトの焦点は、動き、言語および視覚を組み合わせて集中的に習熟することにある。プロジェクトコーディネータのヘルゲ・リッター教授は「複数の指を持つ複雑な産業用ロボットの投入はまだ難しいが、将来の実現に向けて貢献できるプロジェクトだ」と述べている。
このCITECの研究プロジェクトは、ドイツ連邦政府およびNRW州政府の委託を受け、エクセレンスイニシアチブの一部としてドイツ研究振興協会(DFG)が助成している。研究成果は将来的にはサービスロボットにも応用できると期待されている。例えば、家庭用サービスロボットが自律的に各家庭に適応する能力を身につけられる。このロボット工学研究分野でビーレフェルト大学は大阪大学と数年来協働しており、今後の成果が益々期待される。