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経済にショッピングに日本との縁……デュッセルドルフがすごいワケ

ドイツで州別人口第一位のNRW 州の州都、デュッセルドルフ。数多くの見本市が開催され、約5,000社の外国企業(そのうち約600社は日本企業!)が拠点を置くほか、美術品売買もさかん。ライン・ルール地方の“心臓部”にあたり、ドイツ国内でも5本の指に入る重要経済都市だ。デュッセルドルフの周囲500kmに目を向ければ、約1億5600万人もの人々が居住していて、この数はEU人口の実に31%にのぼる数。そんなデュッセルドルフの魅力を改めて考えたい(同コンテンツは画像満載でこちらからも閲覧可能)

 

2017年、ツール・ド・フランスがデュッセルドルフに!かの有名な自転車レース「ツール・ド・フランス」の2017年の開幕地が、デュッセルドルフに決定。ツール・ド・フランスがドイツから出発するのは、第74回ツール・ド・フランスがベルリンで開幕された1987年以来のことだ。開催期間は6月29日から7月2日。100万人を超える観客たちが、スタートの合図をいまかいまかと待つ形となる。

ヨーロッパ在住日本人たちの“首都” デュッセルドルフに在住する日本人の数は7,000人以上。ドイツ国内でこれほどまでに日本人が集まっている都市はほかにはなく、市内のオーバーカッセル区域にはドイツ最大の日本人学校がある。日本の学習指導要領に沿った教育を受けられるので日本の学校を卒業したのと同様の扱いとなる。就学前の子どもには4つの日系幼稚園が用意されている。デュッセルドルフは在独日本人にとってのまさに“天国”。日本の食品・商品を取り扱う小売店、百貨店、書店、ベーカリーなどが立ち並び、多くの日本食レストランが日本人たちの舌を満足させている。例えば『Yabase』の寿司や刺身は、日本で食べるものにも引けを取らない美味しさ。ラーメン店の『Na Ni Wa』『Takumi』『Takezo』などの人気ぶりも特筆すべきもの。『Nagaya』では、ドイツで唯一ミュシュランの星を獲得した日本人料理人が腕をふるっている。ニーダーカッセル区域には、ヨーロッパ初にして唯一の日本人によって建てられた寺がある。また、ノルドパークには、1975年に日本人コミュニティ―から贈られた日本式庭園もあり、その池では鯉たちが悠々と泳いでいる。世界最大の日本祭り「日本デー(Japantag)」の開催は毎年5月か6月。大々的に花火も打ち上げられるなど、デュッセルドルフと日本の友好を象徴的に表すひと時だ。デュッセルドルフがこれほどまでに“親日”なのは、やはり日本企業の多さによるもの。デュッセルドルフとその近郊には、約600社の日本企業がドイツ拠点ないし欧州拠点としてオフィスをかまえ、ヨーロッパ市場における重要拠点を担っている。いまなお、毎年15社から30社の日本企業が、この地に進出し、拠点を置く。デュッセルドルフ-成田間の全日空直行便も毎日運行している。

酒飲みが夢見る“世界一長いカウンター” ライン川沿いの旧市街には、約250軒の居酒屋が軒を連ねている。それぞれの店が軒先にテーブルを出し、まるでそれらが長いひとつのカウンターのようにつながって見えることから、“世界一長いカウンター(längste Theke der Welt)”と呼ばれている。この街を訪れたなら、ユーリゲ(Uerige)、 フュクシェン(Füchschen)、 シューマハー(Schuhmacher)、シュルュッセル( Schlüssel)などのできたてのアルトビアが飲める醸造所にぜひとも行きたい。アルト(alt)とは、ドイツ語で「古い」を意味し、この地域で伝統的な製法に基づいて作られたビールをアルトビールと呼ぶ。冷蔵システムがなかったころの名残で、発酵が通常のピルスナーよりも高い温度で進み、鮮烈な麦芽の風味が楽しめる。フレッシュなアルトビールが飲めるのは、デュッセルドルフとその近郊だけ。酒飲みなら必ず味わいたい1杯だ。

ライン川沿いの市内散歩  市内にはぶらぶら歩くのに最適な川沿いの遊歩道があり、ひと休みによいカフェやバーも立ち並んでいる。新スポットとして注目されている地区がメディアハーフェン(Medienhafen)。そのなかの訪れるべき美食処のひとつが『ロベルツ・ビストロ(Roberts Bistro)』。飾らない雰囲気のなか、格別のビストロ料理が食べられる。ボートツアーもおすすめ。例えばカイザースヴェルト地区行きのコースでは、多くの歴史ある建物や居城、教会をめぐる美しい景色を楽しむことができる。

ケーニヒスアレーで、買い物三昧  親し気に「Kö」とも呼ばれるストリート、ケーニヒスアレー(Königsallee)にはたくさんのショップがひしめいている。美しい建物や噴水、橋などの街並みを眺めながら歩くだけでも楽しい。1994年には、通り全体が文化財に登録された。

ヨーゼフ・ボイスの作品に触れる  デュッセルドルフは、モダンアートの分野でも特筆すべき都市。世界的に有名な美術大学 - クンストアカデミー (Kunstakademie) があり、多くの著名アーティストがここから輩出されている。モダンアートに多大な影響を与えた戦後最大の現代美術家とも称されるヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)も本校で長く教鞭を執っていた。「人間は誰でも芸術家である(Jeder kann ein Künstler sein.)」という考えでも知られたヨーゼフ・ボイスは、インスタレーションや彫刻、ドローイングなど多岐にわたる素晴らしい作品を残した。20世紀の美術作品を展示する近代美術館「K20」と20世紀末から21世紀にかけての作品を集めた現代美術館「K21」で彼の作品に触れることができる。双方の美術館を往来するシャトルバスのサービスがあるので快適に行き来できる。モダンアートファンなら、ぜひ足を運びたいミュージアム、それが「K20」、「K21」だ。

ドイツ国内の見本市を牽引 デュッセルドルフでは、機械、設備、貿易、手工業、サービス、健康、ファッション、ライフスタイルなど、あらゆる分野の見本市が開催されている。毎年世界中から32,100の出展者と、それを目当てに160万人以上の人が訪れる。ドイツの他都市にはない魅力は、空港が街のすぐそばにあるという点。空港からメッセ会場へはわずか3kmの距離で、街の中心部へも7km程度。空港から10分以内でメッセ会場や中心街に行けるのは、ビジネスマンたちにとっても何よりのメリットだ。

デジタル分野のホットスポット ボーダフォンやドイツテレコム、テレフォニカといった企業による快適な通信網がこれほど張り巡らされた都市は、国内やヨーロッパ全体を見渡してもほかにはない。ドイツ政府が推進している「インダストリー4.0」戦略に基づき、デュッセルドルフでは高度なデジタルテクノロジーが積極的に研究・開発されている。それらを牽引する企業にエリクソン、ファーウェイ、ZTE、オラクル、そして前述のボーダフォンやテレコム、テレフォニカなどが知られている。日立製作所、NEC、富士通、ドコモなどの日本企業も参加している。

卓球界のスター、ティモ・ボル  最後に紹介したいのは、ティモ・ボル(Timo Boll)。非アジア系としては珍しく、10年以上もワールドクラスで活躍し続けているドイツ人卓球プレイヤーだ。1981年生まれで、2003年に初めて世界ランキング1位を獲得。2006年以降デュッセルドルフに拠点を置いている。その鋭い戦術とフェアプレイで日本でも人気が高く、2016年のリオオリンピックでは、団体で銅メダルを獲得した