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欧州議会がMDR適用開始日延期を承認 2021年5月26日に

2020年4月17日、欧州議会は欧州医療機器規則(MDR)2017/745適用開始日の延期を決定した。これを受けドイツ連邦医療技術協会(BV-MED)は「これは、新型コロナウイルスの世界的流行に伴い影響を受けている患者、医療システム、および医療機器メーカーを救済する重要な一歩」との見解を発表。延期により、医療機器は、現行法的枠組みの下でさらに1年間流通することになる。

ドイツ連邦医療技術協会(BV-MED)のDr.マーク=ピエール・メル会長は、「欧州委員会は、新たに決まった適用開始日、2021年5月26日までの時間を有効利用し、MDR体制をしっかりと準備すべき。必要なのは指定機関の拡充、専門委員会の設置、法的行為およびガイダンスの制定」と語った。

ドイツ連邦医療技術協会(BV-MED)は、3月13日、新型コロナウイルスの世界的流行に鑑み、MDR の実施猶予を求めた。 翌月4月3日、延期を盛り込む欧州委員会のMDR改正に向けた提案が公表され、4月7日、欧州理事会は欧州議会で延期協議を行うことを了承。こうして、MDR改正案は17日、欧州議会によって採択された。この決定でMDRの適用日は1年延期され、従来の法的枠組みに基づいて指定された指定機関は更に一年間指定を受けたままとなる。ドイツ連邦医療技術協会(BV-MED)は、さらに、現認証の有効期間、いわゆる「猶予期間」の延期と、現行指令に準拠した機器の継続的販売期間の延期についても働きかけていく。

BV-MEDのMDR専門家Dr.クリスティーナ・ツィマー氏は、「適用日だけ1年延期することになると、移行に伴い設けられた現行規則の有効期間は、4年だったものが結局1年短縮され、3年だけになる」と問題点を指摘。現状では、現行規則は2024年5月26日まで有効となり、変更無しのままだ。しかし、新型コロナウイルスの世界的拡大で、MDRに基づく医療機器の新規認証手続きは今、停止状態だ。果たして、2024年5月までに移行プロセスを終えられるのかが懸念される。

2020年4月8日に公表された「新型コロナイルス(COVID-19)感染拡大時における医療機器の指定機関での検査に関連する暫定臨時措置」ガイドラインでは、新規認証および適用範囲拡大認証のオンライン等の遠隔監査は認められていない。このため、上述のツィマー氏は、「現時点では、定期的な現場立入監査をいつ実施できるか全く見通せない。このままでは、医療機器メーカーのMDR対応の時間的余裕が益々減少する」と懸念を表明した。

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