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欧州発のクラウド/データインフラ構築プロジェクトが始動

2020年6月4日、ドイツのペーター・アルトマイヤー連邦経済・エネルギー相とフランスのブリュノ・ルメール経済・財務相がオンライン共同記者会見を開催して欧州発クラウド/データインフラ構築のプロジェクト「ガイアX(GAIA-X)」の進捗状況を発表。基本原則を定め、構想実現に向け約300の欧州内外の企業や研究所をはじめとした機関が参加。

「GAIA-X」構想は2019年10月にドイツ連邦政府が発表。このプロジェクトには当初、ドイツからジーメンス社、SAP社、フラウンホーファー研究所など、フランスからAtos社やSafran社など計22の企業や研究所が参加を表明。NRW州からもドイツテレコム社やBeckhoff Automation社、PlusServer社などが設立時メンバーとして参加を表明していた。

この「GAIA-X」構想の背景にはドイツの中小企業(ドイツの企業数の約99%を占める)のデータ管理への強い懸念がある。即ち、高い機密性を要求される製造技術や顧客データを米国や中国のクラウドに保存することへの懸念だ。特に米シリコンバレーの巨大ハイテク企業によるデータ支配から脱却し、欧州のための安全で信頼できるデータ・インフラストラクチャーを構築することがGAIA-Xプロジェクトの目的だ。

GAIA-Xはもちろん欧州の企業や市民にとって有益なものであることを第一義としているが、欧州のデータ保護規則を遵守するという条件の下での、欧州域外の企業や機関の参加を排除するものではない。基本原則として下記の7つの項目が盛り込まれている。

  1. 欧州のデータ保護
  2. 開放性と透明性
  3. 信憑性と信頼性
  4. デジタル主権と自己決定
  5. 自由な市場アクセスと欧州の価値創造
  6. モジュール性と相互運用性
  7. 使いやすさ

当プロジェクトにはこれまでに約300の欧州内外の機関が関与しており、今後はGAIA-Xのエコシステムを構築しプロジェクトの中心的運用を担う非営利機関「GAIA-X Foundation」をベルギーのブリュッセルに設立予定だ。参加機関にはGAIA-Xの共通の目的、つまり「自主性」「データ可用性」「相互運用性」「可搬性」「透明性」と「公正な関与」が求められる。

GAIA-Xのユースケースとして「エネルギー」「ヘルスケア」「インダストリー 4.0/中小企業」「農業」「モビリティ」「公共部門」「スマートリビング」「ファイナンス」の産業分野を選定し、40以上のプロジェクトを進めていく。

ルメール仏経済相は「新型コロナウイルス感染拡大にあってテレワークが推進される中、ITインフラの重要性が明らかになった。我々は米国でもなく、中国でもない。我々は独自の価値観を持つ欧州なのだ」と胸を張った。

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