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森林はドイツにとって最も重要な資源、そして生命の根幹を成すもの

森林と自然の保護なくして、気候保全目標は達成不可能

ドイツ人は森をこよなく愛すると言われている。森は憩いの場であり、自然景観の大切な構成要素だ。しかし、それだけではない。森は太古の昔から万物の生命の源となってきた。しかしこの重要な資源が今、気候変動、乱伐、不十分な整備・保全、干ばつ、大規模な森林火災などによって、世界中で危険に晒されている。

ドイツの国土は、その面積の約3分の1にあたる1140万ヘクタールが森林で覆われている。産業が活発なNRW州でも、生物の生息地である森林は面積の25%を占め、47%を占める農地と並んで、生態学的にも経済的にも重要な役割を果たしている。森をレクリエーション、休息、レジャー、スポーツの場として親しむ NRW州の住民にとって、森はまさに健康と生きる喜びの源だ。

また、NRW州の経済にとっても森林は重要な意味を持つ。2016年、NRW州には2800カ所の林業事業体が登録されており、合計5985平方キロメートルの森林経営が行われていた。森林所有者の内訳は、個人(41.1%)、国(22.8%)、法人(36.1%)となっている。いずれにしても、ドイツでは森林所有者は重要な資源を管理し、農業従事者と同様に政治影響力のあるロビー団体となっている。

2020年の針葉樹伐採量は1450万立方メートルだった。内、枯損木(損傷、気象害、病虫害などで枯れた木)の割合は96.8%と過去最大を記録。これは、特に近年の干ばつや猛暑などの気候変動の影響を受ける森林に過度な負担がかかっていることを示している。2011年から2017年の間は枯損木の割合はまだ20%以下に過ぎなかった。

原木の輸出は2020年半ばから増加し始め、また2021年初めには急増する展開となった。2021年の第1四半期だけでも、NRW州の原木輸出は前年比48%増を記録。これは、新型コロナ第1波後に景気が回復し、世界的に建材や木材が不足したことが背景にある。ドイツ原木の主要輸入国は中国、ベルギー、オーストリアだ。ただし、ベルギーとオーストリアは積み替え国として機能しており、ここから原木はさらに他国へ輸出されている。

パリ協定の目標は、気候変動による気温上昇を1.5℃までに抑えることだ。この目標を達成するためには、カーボンプライシング、再生可能エネルギー、エネルギー効率、断熱、新技術など、多数の対策を取る必要がある。しかし、ドイツや日本では、安心して暮らせる未来のために森という資源が大きな役割を果たせることを忘れがちになっている

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