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ドイツ エネルギー自給率増加の自主目標未達成  エネルギー原料輸入量が微減にとどまる

ドイツのエネルギー原料輸入量の割合は71%(2018年)となり、依然として外国のエネルギー原料に大きく依存していることが明らかになった。2000年から2018年のエネルギー原料の輸入減少率はわずか1.6%にとどまり、同時期の純輸入量の減少率も11.6%と微減だった。これにより、エネルギーシフトで「エネルギー自立」を目指すドイツの自主目標が未達成という結果となった。

石油、石炭および原子力エネルギーの輸入は減少している。石油は暖房市場での重要性を失い、石油ベースの化学製品の生産も10%減少している。石油の輸入量は2000年から2018年の間に17%減少したにもかかわらず、石油は輸入の47.5%をも占め、依然として最も重要な輸入エネルギー原料となっている。

一方、石炭では相反する動向が見られた。助成金による石炭採掘は減少し続け、2018年には完全に廃止された。にもかかわらず、発電用の石炭需要の減少は緩やかなものだった。即ち、需要を満たすため、一時的に輸入で賄われたのだ。しかし、石炭による発電は、再生可能エネルギーの拡大とCO2排出量証書の価格上昇により魅力を失っている。

2番目に重要なエネルギー原料である天然ガスの輸入は、2014年以降着実に増加している。この傾向の理由は、発電用の天然ガスの需要の増加にある。ガス火力発電は高い柔軟性を備えているため、変動しやすい再生可能エネルギーへの対応のため、ガス火力発電が利用される。さらに、ドイツ国内の天然ガス生産量が減少していることも輸入を押し上げている要因だ。

ドイツのエネルギー地域No.1であるNRW州では、石炭委員会からの脱石炭の提案を受け、2038年までにエネルギー産業の大転換を経験するだろう。しかしこれは同時に新たなエネルギー原料の開発とその利用に向けた大きなチャンスをももたらす。

<ファクトデータ>

・暖房市場での需要減少のため、石油の輸入が減少

・石油は依然としてドイツで最も重要なエネルギー源(エネルギー純輸入量の47.5%を占める)

・2000年以降、ドイツの石油輸入量は17%減少(理由:暖房市場での需要の減少および石油ベース化学製品の生産量の10%の減少)

・天然ガスの輸入量は大幅に増加(理由:住宅部門における安定した高い需要。発電用需要が2000年の8.5%から2018年の13%へ増加。ドイツ国内の天然ガス生産量が減少)

・石炭の純輸入量は2000年から2018年の間で39%減少

・石炭の国内生産量の減少(理由:CO2排出量証書が高価格。再生可能エネルギーの拡大)

・原子力エネルギーは2000年から2018年の間に55%減少(理由:脱原発)

参考資料