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日独経済シンポジウム「企業連携とイノベーション」に300人

5月22日に開催された「企業連携とイノベーション -デジタル化・グローバル化の進む経済における新たな成功戦略」は、毎年この時期にデュッセルドルフで開催される「日本デー」の一環として定着している日独経済交流プラットフォーム事業。NRW州の日本コミュニティーや600社以上の進出日本企業と培ってきた協働のハイライトだ

 

デジタル化によって、既存のビジネスモデルや開発スピードに変化が求められている時代に、日独が市場での競争力を維持し、発展を続けるため、企業や国の枠を超えた連携が求められている。企業の大小を問わず、スタートアップにも可能性を求めた成功戦略が、日独のビジネスの第一線で活躍するスピーカーから披露された。

High-Tech Gründerfonds Management GmbH CEOのミヒャエル・ブラントカンプ氏が「日本企業とドイツの革新的なスタートアップ企業との連携:成功の要素」をテーマに基調演説。続いてDigital Innovation Hub Düsseldorf/Rheinland CEOクレーメンス・ガイダ氏と01Booster Inc., Tokyoの共同代表合田ジョージ氏のプレゼン後、パネルディスカッションへ。日独におけるスタートアップの現状について、活発な質問や意見交換が行われた。

その後、6つの企業の代表が実践例を紹介。Denso International Europe/Denso Automotive Deutschland GmbH理事・欧州技術担当・アーヘン研究所所長の矢野健三氏は、ハイブリット車両分野で現在進行中の共同開発「プロジェクト"Hy-Nets"」について述べ、Wacom Europe GmbHのプラットフォームズ&アプリケーションズ・ユニット・シニア副理事のファイク・カラオグル氏は、インクをデジタル化した同社商品WILLの開発とエコシステムの成功例について紹介した。

矢野氏は、「デジタル+αという発想にはまだまだ可能性がある。デジタルインクのWILLは、まさにその好例。自動車業界の世界も無限に広がり、シュテルン氏(ESCRYPT GmbH/RENESAS Electronics GmbH のシニアマネージャー)が発言されたように『走るスマホ』を作る時代に。欧州の強みは無駄な競争をせずに連携し、標準化を進めること」と、企業連携の重要性を強調した。

デジタル化とIoTについての事例を紹介したHitachi High-Technologies Europe GmbH のマネージング・ダイレクター、ハインツ・ドメル氏は「日独に限らず、各国の企業との連携には大きな可能性が秘められている。必要なのはほんの少しの『忍耐』だけ」と、自身の経験を語った。

デュッセルドルフ市長トーマス・ガイゼル氏は、「ダイナミックなポテンシャルを持つスタートアップ支援に積極的な、インターナショナルで好奇心旺盛なデュッセルドルフですが、やはり日独の結びつきは特別なもの。デジタル化は市民の皆さんの生活の安全を守り、あらゆる社会問題を解決します。諸問題における日独の経験の共有はますます重要性を帯びます」と話し、在デュッセルドルフ日本国総領事の水内龍太氏も、「今年、デュッセルドルフの総領事館が50周年を迎えます。世界経済の混沌の中、日独は『安定』の象徴」であると、連携強化を強調した。一方で、「ドイツにおいても、日本に対するアナログな見方があり、日本に対してもっと関心を持っていただけるよう地道な努力が必要」と、日独関係の次のステップを見据えたのは在デュッセルドルフ日本商工会議所会頭黒岩誠一氏。

「『日独経済シンポジウム』は、日本とNRW州の良好な経済関係を明確にするものであり、また殊に当地NRW州の日本コミュニティーや600社以上の進出日本企業と培ってきた協働のハイライト 」と同シンポジウムの意義を語るぺトラ・ヴァスナー氏がNRW.INVEST GmbH理事長として重視するのも、今回のテーマでもある「連携」。「日独双方の経済、そしてNRW州にとって意義あることは何か、その現況をしっかり視野に入れることが私どもの業務で大切なことです。そうすれば、日本のお客様に当立地拠点の付加価値をお届けすることができます。例えば、再生可能エネルギー、ヘルスケア産業・医療技術、インダストリー4.0、そしてデジタル化といった未来テーマがその際、重要な役割を果たすでしょう」と、イノベーションを起こす連携のため、NRW州における更なる0環境整備に意欲を見せる。

司会を務めたWHU Otto Beisheim School of Managementホルガー・エルンスト教授は、「合田氏(01Booster Inc., Tokyo)のプレゼンテーションの中で、日本のスタートアップの現状を知り、まさに10年前のドイツと同じ状況だと感じました。しかし、今回のシンポジウムを通して改めて感じたのは、日本はドイツが10年かかったことをもっと短い期間で成し遂げられるということです。シリコンバレーに学ぶより、産業構造や社会的課題が似ているドイツから学ぶ方が近道。何より大切なことは、人材の育成。失敗しても構わないという文化、リスクを負って挑戦することを認める文化をつくること。そして、日本にも自国に憧れるべき『お手本』『サクセス・ストーリー』が必要になるでしょう」次のサクセス・ストーリーは、日独の連携によるスタートアップから紡がれるかもしれない。