このクレーフェルト工場では現在2000人以上が働いており、うち約1200人が製造、約350人が最新の車両プラットフォーム開発に携わっている。同地域ではシーメンス・モビリティ社は重要な雇用主だ。独自の研修プログラムを充実させ、毎年125名もの後進を育成している。
クレーフェルト工場には約7万4000m²の生産エリアと6万4200m²の物流エリアがあり、「ミレオ」「デジロ」「ヴェラロ」「ICE4」などの近距離および高速列車車両が製造されている。年間平均製造数は600車両。世界中の事業者に納車され、その地の国内/国際鉄道車両として活躍している。
この工場の成功は受注量でも裏付けられている。例えば2011年、シーメンス・モビリティ社はドイツ鉄道から最大300両の高速列車車両ICE 4の製造を受注した。また2015年に同社は「ライン・ルール急行」プロジェクトにより、ドイツ近距離旅客輸送分野で当時最高額の受注を獲得し、この受注の一部として、クレーフェルト工場では82両のデジロHCを製造・出荷している。そして2022年、同社はさらに大規模な受注に成功。エジプト政府による全長2000kmの高速鉄道網建設プロジェクトでの過去最大の受注だ。これに伴いクレーフェルト工場では41両のヴェラロと94両のデジロHCが生産されることになった。
このような大規模なプロジェクトを通じて、シーメンス・モビリティ社は包括的ノウハウ、質の高い仕事、そしてプロジェクトを遂行する信頼性を示してきた。また同社は未来志向の持続可能な事業においても、顧客から高い評価を受けている。なお、クレーフェルト工場では、水素やバッテリー駆動車両も製造されている。架線による電化が不可能であったり、また電化が非効率な路線に投入されるという。またデジタル化も重要な役割を果たしており、最高レベルの透明性と効率性を確保する上で製造・物流プロセスのデジタル化は欠かせない。同社はクレーフェルト工場へ継続的な投資を行い、鉄道車両分野で世界的リーダーのポジションを維持し続けている。
