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NRW州発ProNanoポリマー製ステントが受賞<アーヘン工科大学イノベーションアワード>

磁気ハイパーサーミアで中空臓器がん治療をサポート: NRW州アーヘン工科大学(RWTH)応用医療技術研究所のイオアナ・スラブ氏と同大学繊維技術研究所のベネディクト・バウアー氏が中空臓器腫瘍治療で新技術を開発し、アーヘン工科大学イノベーションアワード2022で受賞した。「イノベーションアワード」は工学でドイツを代表するアーヘン工科大学が、毎年、特に革新的な大学発のプロジェクトを表彰するもの。

ドイツでがんの部位別死亡率の約25%を占めているは、胆管や食道などの中空臓器腫瘍だ。中空臓器腫瘍とは、食道、胃、腸、膀胱、気管支など、身体の中空臓器にできる腫瘍のことである。中空臓器腫瘍には良性と悪性があり、通常、組織学、すなわち細胞の種類によって腫瘍が分類される。手術で腫瘍を除去できない場合が多く、ステントで一時的に中空臓器を開けることは可能だが、腫瘍はステントを介して中空臓器に侵入して増殖し続けることが多い。

これを改善するのが、アーヘン工科大学で開発された磁性ナノ粒子内包型ポリマー製ステントを利用した磁気ハイパーサーミアがん治療法だ。磁性ナノ粒子は電磁場が印加されると、ステント材料のみならず腫瘍も適切に加温するという特性を持つ。腫瘍は正常組織よりも熱に敏感であるため、磁性ナノ粒子内包型のポリマー製ステントを使って加温することで腫瘍を破壊でき、また他の治療効果もアップする。一方、中空臓器は開いたまま維持され、またステントにはセルフクリーニング機能がついている。

将来的に大きな期待を集める磁気ハイパーサーミアがん治療法だが、この新たな素材を利用した治療法は未だがんの標準的治療法として確立していない。その有効性と安全性を確認するためにはさらなる研究と臨床試験が必要なのだ。

アーヘン工科大学は、長年にわたり日本の大学、研究機関、産業界と緊密な関係を育んでいる。NRW.Global Business Japanは日本での同大学の活動を継続して支援している。

アーヘン工科大学イノベーションアワード詳細はこちら
画像出典: https://www.ita.rwth-aachen.de/global/show_document.asp?id=aaaaaaaaaxxwlbf