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米マイクロソフト 32億ユーロをドイツ・NRW州に投資 ラインレヴィア鉱業地域でクラウドとAIインフラを拡大

米国のテクノロジー企業マイクロソフトは今後2年間で総額32億ユーロを投じ、ドイツ全域でのクラウドとAIインフラを拡張し、演算能力を2倍以上にする計画だ。

NRW州ケルン近郊にあるライン・エアフト郡のライン・レヴィア(鉱業地域のベドブルクとベルクハイムに2つのコンピュータセンター(ハイパースケーラ)が建設される。着工は2024年、稼働開始は2026年の予定だ。

ライン・レヴィア(鉱業地域)はコンピュータセンターの好立地と認知されている。なぜなら、アムステルダムとフランクフルト、そしてストックホルムとパリを結ぶヨーロッパのデータ通信経路がここで交差しているためだ。ハイパースケーラは、コンピューティングとストレージなどのサービスを1億人以上に提供することが可能だ。ライン・レヴィア(鉱業地域)は、ヨーロッパで最も経済力があり、人口最多の「ブルーバナナ(ヨーロッパにおいて社会・経済的に中核となる地域)」の中心に位置している。NRW州最大の都市ケルン、州都デュッセルドルフとその周辺地域には、数千もの企業が拠点を構えて活動しているのだ。

NRW州首相ヘンドリック・ヴュストは「NRW州は世界中の投資家にとって非常に魅力ある立地拠点だ。今回の投資決定はドイツにとって力強いシグナルであり、同時に、ライン・レヴィア(鉱業地域)の構造転換をさらに前進させるために大きな貢献をしてくれるだろう」と語った。

インフラ拡張は、この地域の構造転換において重要な役割を果たすだろう。ドイツ連邦政府とNRW州政府が石炭火力発電の段階的廃止を2030年までと前倒しに設定したが、新たなプロジェクト等により、この褐炭鉱区で数千の新規雇用が創出される見込みだ。

マイクロソフトによると、ドイツはAI利用やAIを含むソフトウェア開発において欧州をリードしているという。製造、自動車、製薬および医療技術などの分野ではAIアプリケーションの需要が高まって来ているのは確かだ。マイクロソフトは今後デジタル能力を大幅に向上させ、自社のAI支援サービスをドイツの顧客により幅広く、そしてより身近に提供したい考え。ドイツ通信社(DPA)によると、製薬大手バイエルやエネルギー大手のRWE社といった主要顧客の拠点に近いことも、マイクロソフトがNRW州を選定した要因とのこと。例えばバイエルは、Microsoft M365 Copilotを利用しており、今後、電子メールや添付ファイルを自動的に要約したり、書類・資料の原案を作成したりなど、日々の業務プロセスのスピードアップを目指している。

モナ・ノイバウアーNRW州経済大臣は、マイクロソフトの進出は始まりに過ぎないと語り、「マイクロソフトの魅力ある“引力”は、これに続く民間企業をNRW州に引き寄せることになるだろう」と強く確信している。

出典1  2  3  4  5   画像(コンピュータ)出典:Unsplash