政府は法人税率を段階的に15%から10%へ引き下げるほか、企業が設備投資を行う際に加速償却を認める制度を導入する方針を決定した(AP通信)。これにより、ドイツ国内での設備投資や雇用拡大を促し、国際的な投資競争での地位回復を狙う。
同時に、政府は総額5,000億ユーロ規模のインフラ整備計画を策定した(フィナンシャル・タイムズ紙)。今後12年間にわたり、鉄道網や橋梁、デジタル通信網の整備、さらにはエネルギー効率化プロジェクトなどに重点的に資金を投入する。2025年には約220億ユーロ、2029年には年間350億ユーロ規模まで投資額を拡大する計画である。これにより、老朽化したインフラの再生と、生産性向上を通じた長期的な成長促進が期待されている。
一方、ドイツ貿易投資振興機関(GTAI)が主導する投資イニシアティブ「Made for Germany」も注目を集めている。同プロジェクトには国内外の105社以上が参加し、今後3年間で総額7,350億ユーロの投資をドイツ国内で実施する計画を明らかにした(GTAI発表)。研究開発、グリーン技術、デジタル産業など幅広い分野への投資が想定され、経済の再活性化と新産業育成の起爆剤とされる。
ドイツ経済は近年、輸出減少や産業生産の鈍化、エネルギーコスト高騰、熟練労働者の不足など複合的な課題に直面している。これらの構造的問題を解決し、往年の「欧州の成長エンジン」の勢いを復活させるのが今回の一連の施策の目的だ。
政府関係者は、「今後10年間は成長と競争力を取り戻すための決定的な期間となる」としており、官民一体での改革推進に強い意欲を示している。
この状況は日本企業にとっても、好気到来と言えよう。税制優遇措置や補助金制度の拡充、インフラ整備の進展により、現地法人設立や技術提携のチャンスが広がっており、とりわけ日本企業にとっては、環境技術や高付加価値製造業の分野で協力の余地が大きい。
停滞する経済を再び成長軌道に戻せるか -ドイツの挑戦は、欧州経済全体の行方を占う試金石となりそうだ。
出典:
https://www.ft.com/content/6f719dcd-1df0-4b45-af3b-b08ff548537c[NK3]?utm_
