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2022年 回復力を示したユーロ圏とドイツ 

2022年のユーロ圏とドイツ経済は、ウクライナ戦争、それに伴うエネルギー危機、年末の高インフレという厳しい状況にもかかわらず、想定外の好調さを見せ、当初の予想以上に回復力があることを証明した。

当初の予測では、ユーロ圏19ヵ国の2022年GDP成長率は3.5%、EU加盟国のそれは3.6%とされていた。一方、ドイツのGDPは2022年、1.9%プラスを達成。この数年間のコロナ抑制を脱し、受注が回復してきており、総じて多くの不確定要素があるにもかかわらず、今後の見通しは予想以上に明るい。

ドイツでは非常に好調な産業部門がある一方で、エネルギー大量消費型分野では生産量が減少している。特に、化学産業は14%減、製紙産業は6%減、また金属産業も7%減と苦境にある。

では、好調軌道に乗った産業分野の2022年の伸び率はどうだったのか? 
”コロナ”関連の需要により、製薬産業は生産高が40%の増加。コンピュータやエレクトロニクス産業も同様にコロナ要因からの恩恵を受けた。さらに半導体の供給が大幅に改善したこともこれらの産業の成長につながった。

この半導体不足やサプライチェーンのボトルネックが解消されたことで、特に恩恵を受けたのは自動車産業だった。この傾向は2023年の年初にはさらに強まると予想されている。自動車産業は工業全体での比重が非常に大きいため、今後も経済が回復基調で進んでいくことが予想される。

また、コロナ関連の行動制限が一段と緩和されたことにより、サービス業も大きく成長した。ドイツでは、商業、交通、ホテル・レストラン部門の粗付加価値額(国内総生産)が4%増加。また同分野にとって、欧州外からの旅行者の増加も追い風となるであろう。

労働市場が堅調であることから、ドイツの就業者数は2022年、平均1.3%増加の4560万人と過去最高数を記録した。その結果、インフレにもかかわらず個人消費が増加し、経済成長にも貢献した。

総論:ドイツとユーロ圏は回復力を示している。なお、エネルギー危機のショックは次の要因によって緩和された。
1.欧州は比較的暖冬でエネルギー価格が下落した
2.備蓄が十分にあった
3.コロナ後の需要増加の効果が経済を支えた

このように、EUおよびユーロ圏の経済は、予想を大幅に上回る成長を達成した。2023年には、アジアの主要経済地域(特に中国や日本)の「開国」や欧州のグリーンディール政策が大きなチャンスを提供するであろう。EUやドイツ / NRW州に拠点を置く日本企業には是非、このチャンスを活用してもらいたい。

出典1 2   写真コピーライト:MicroStockHub