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気候ニュートラルへの道  NRW州 風力発電を拡大

2022年から2027年を対象に策定されたNRW州の連立協定、いわゆる「NRW州の未来協定」は、NRW州をヨーロッパ初の気候ニュートラルな産業地域にすることを目標に掲げている。気温上昇の1.5度抑制対策を基に、できるだけ早く気候ニュートラルな達成を目指す計画だ。

気候ニュートラルへの道程には、安全で信頼できる、かつ安価なエネルギー源が必須だ。そのためNRW州連立協定では、エネルギー主権の確立を優先事項に挙げている。これは2つの脱却、即ち化石燃料からの段階的な脱却とロシア依存からの脱却を意味する。エネルギー主権を確立し、安価なエネルギー供給を確保するには再生可能エネルギー普及の更なる加速が喫緊の課題だ。

NRW州で大きな役割を果たしている主要エネルギー源のひとつが風力エネルギーだ。風力はドイツの電力構成において最も重要なエネルギー源であり、太陽光発電とともに最も費用対効果の高い発電形態となっている。

連立協定では、再生可能エネルギーの拡大を加速することを以下3事項実現のため必須要件としている。

  1. 気候保護目標の達成
  2. 経済拠点としての競争力維持
  3. エネルギー主権と安定供給の確保

風力発電の普及は、受け入れ態勢が整っていないことや法的ハードルの高さから、何年も遅々として進まなかったが、普及の加速には、計画・認可手続きの標準化、簡素化、短縮化、そしてデジタル化が肝要だ。それをベースに、再生可能エネルギー源の拡大という次のステップに移行できる。

直近の例を挙げると、JUWI社はNRW州最大の風力発電パーク建設を計画しており、再生可能エネルギーのスペシャリストとして、プロジェクト開発に加え、プラントの計画・建設・運用管理に関するあらゆるサービスを提供している。このプロジェクトのため、同社はヘドリンゲン城文化財団と合意書を交わしており、メーネゼーとアルンスベルクを結ぶヘドリンゲン地帯に風車を設置する予定だ。ここで発電した電力は2028年末以降アルンスベルク地域に供給される。また、7.5メガワットクラスの風車を最大35基設置する計画で、設置予定地はNRW州国土開発計画(LEP)の追加法令に基づき、風力発電の適地とされた荒地が中心だ。2027年半ばに建設が開始され、同プロジェクトで連立協定の目標に大きく近づくことになる。

なお、隣接するアルンスベルク、メーネゼー、およびエンゼの市町村もこの風力発電プロジェクトから直接、財政的な恩恵を受けることになる。というのも発電量1kwh当たり年間0.2セントが20年間、市町村に支払われるからだ。例えば、アルンスベルク市では年間35万ユーロ以上*の収入となり、これが20年に渡り担保されるのだ。またこの収入は市町村が自由に使えるので、自らのインフラ整備などへの投資が可能だ。

このように、ドイツ、そして経済立地拠点としてのNRW州にとって、風力発電の拡大は気候ニュートラルへの道筋として不可欠であり、今後も継続していく。

*現計画に基づいた試算

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