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ドイツ ベンチャーキャピタル投資状況

ドイツ、そしてまたNRW州のスタートアップシーンはこの10年、活況を呈して来た。多くのベンチャー企業がコロナの難局を切り抜け、事業ターゲットを通信、学校教育、健康、産業向けのデジタルソリューションに設定し直し、勢いに更に弾みをつけている。

ドイツのベンチャーキャピタル市場は、2021年に投資額170億ユーロで史上最高を記録。翌年はしかし、ウクライナ戦争を背景に投資額が約40%減少と、衝撃的な数字を記録した。だが、これはドイツ市場の動向を正確に反映しているわけではない。

2022年2月24日のロシアのウクライナ侵攻以降、マクロ経済は深刻な影響を受け、インフレ率が前年の3.1%から2022年には7.9%近くまで急激に上昇する中、ドイツのスタートアップやベンチャーキャピタルの資金調達状況は、依然として好調を続けている。この成長を後押ししてきたのは低金利。しかし昨今、インフレ率の急上昇により投資家等の関心が別案件にも向いている。これにより、スタートアップ市場での投資家のリスク許容度が下がり、ベンチャー企業への資金供給が干上がり始め、また資金調達もより高額になってきた。

更に、この高コストと不確実性に拍車をかけているのがエネルギー危機だ。このように、投資家のフォーカスは成長重視から収益性とプロセス重視へと移行した。この状況下、「欧州テック・チャンピオン・イニシアチブ(ETCI)」等、ファンド・オブ・ファンド* の新たな政府支援プログラムは資金調達環境の強化に多いに貢献するであろう。

NRW州に焦点を当てると、2022年はベンチャーキャピタル投資が継続し、スタートアップビジネス全体が成長を見せた年となった。ドイツのスタートアップのうち、約19.1%がNRW州での起業で、特にライン・ルール地方はホットスポットだ。NRW州の産業は裾野が広いため、スタートアップ企業は多様な分野でビジネスができ、また州内スタートアップの総収入の65%がB2Bセクターであることも魅力のひとつだ。

*成長段階にある革新的な企業に投資するベンチャーキャピタルファンドを対象に投資するファンド

出典1  2: Prüver, Thomas, and Nikifarau, Artyom “Scale-up! Shape up! German tech start-ups between growth and profitability Venture capital and start-ups in Germany 2022“ EY VC Study (2023)