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ティッセンクルップ社 カナダでグリーン水素製造用プラントを建設

Hydro-Québec向けプラントは世界最大級 2023年に運転開始予定

ティッセンクルップ・ウーデ・クロリンエンジニアズ社(所在地:ドルトムント)は、NRW州エッセン市に本拠を置くティッセンクルップグループの子会社だ。2021年1月、同社はカナダで大規模プロジェクトを受注したと発表。ケベック州で未来型エネルギー「グリーン水素」を製造する水電解槽の設置を受注した。この水電解槽は88メガワット規模。

カナダの国営企業Hydro-Québec社は北米最大の水力発電事業者のひとつであり、今回のプロジェクトの発注者だ。再生可能エネルギー電力のみが用いられ、即ち、水電解でCO2フリーの「グリーン水素」を製造するわけだが、このグリーン水素はそのプロセスで副産物として発生する酸素と共に、廃棄物からバイオ燃料を生成するために利用される。また、輸送用にも利用される予定だ。

脱化石燃料へ段階的に向かうためには、世界中の産業界で新たなエネルギー源であるグリーン水素が欠かせなくなる。しかし現在、水素製造の大部分は化石燃料に依存しているため、CO2を分離・貯蔵しなければならない。これに対しカナダで投入される水電解槽は、現在、グリーン水素を工業規模で製造できる唯一の技術となる。

ティッセンクルップ・ウーデ・クロリンエンジニアズ社のデニス・クルーデCEOは、「ケベック州とHydro-Québec社が提供する理想的な条件により、当社初のマルチ・メガワット規模の水電解槽設置が実現する」と述べている。同社は世界中で600を超える電気分解装置と電気化学工場関連の大規模プロジェクト(総出力は約1万ギガワット)を実施している。今回のカナダのプロジェクトはそのひとつだ。

エッセンを拠点とするティッセンクルップ・グループの事業は、NRW州が促進するグリーン水素政策と密接に関連している。 NRW州政府は「水素ロードマップ」を策定し、パートナーとの協力の下、NRW州内だけでなく、NRW州の域外でも、産業インフラを気候保全型に転換することを目指している。NRW州ピンクヴァルト経済大臣は、2050年までに産業プロセスを「ほぼカーボンニュートラル」にすることが目標と述べている。

ティッセンクルップグループは、製造業だけでなく運輸分野でも気候保全型への転換が可能なグリーン水素技術に大きな期待を寄せている。化学&プロセス技術の責任者であるサミ・ペルコーネン氏は「このプロジェクトは、競争力のある再生可能エネルギーを安全に確保し、さらに水素製造を工業規模で行う技術との統合が如何に重要であるかを如実に示している」とした。

 ティッセンクルップ・ウーデ・クロリンエンジニアズ社は、日本に現地法人ティッセンクルップ・ウーデ・クロリンエンジニアズ株式会社(所在地:東京)を置く。同社は2021年3月3日から5日まで東京ビッグサイトで開催されるFC Expoのドイツ共同ブースに出展し、NRW.Global Business Japanと共にNRW州の事例や水素製造、その利用の可能性など紹介する。

 参考資料1   2