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エンジンのDeutz社  カーボンニュートラル技術へ高額投資

モビリティ分野のイノベーション  -  NRW州ケルン市の老舗エンジンメーカー”ドイツ“(Deutz)社が新戦略プログラムとカーボンニュートラル技術へ高額投資

ドイツ社はケルンに本社を置く世界最古のエンジンメーカー。先般、事業拡大計画を発表し、新たな戦略プログラムをスタートさせた。注目すべきは 、カーボンニュートラルな技術に加え、次世代の内燃機関エンジンの生産拡大も目指していることだ。内燃機関エンジンは設立以来の同社根幹を成す製品であるだけに、大きな関心が寄せられている。

現在、ドイツ社が製造するエンジンからは未だCO2が相当量排出されているが、同社は2050年までに脱炭素経営の実現を目指している。今後3年間で、電気モーター、水素、合成燃料などのカーボンニュートラル技術や代替駆動システムの開発に1億ユーロ以上の投資をする計画だ。

モビリティ産業はカーボンニュートラルを実現しなければならない。だからこそ、エンジンメーカーであるドイツ社の変革は経済的なチャンスをもたらすであろう。しかし無論、そこにはリスクも伴う。そのため、新たな駆動技術の開発だけでなく、内燃機関技術をさらに進展させることが肝要だ。

同社が内燃機関技術の次の開発にこだわるには理由がある。何故なら、今後当分の間、農業や大型車分野では内燃機関を回避できないとの見通しからだ。これらの分野では、カーボンニュートラルな代替ソリューションや革新的技術はごくわずかしか存在しない。故にドイツ社が内燃機関を完全廃止することはありえないだろう。ドイツ社のセバスチャン・シュルテ会長は「内燃機関は当社にとって今後も必要な技術」と述べ、そのため、2023年の内燃機関生産台数は昨年比で2万台増加する計画を打ち出している。部品や電気モーターについては、今後もドイツ国内で生産する計画はなく、海外から調達を継続する予定だ。そのため中国は同社にとって今後も重要なパートナーであり続けるだろう。

今後も主にヨーロッパと米国市場に注力し、成長を目指すとのことだが、一方、2030年に世界トップ3の独立系エンジンメーカーになるという目標達成のためには、インド、南米、アフリカといった地域も無視できないはずだ。このような地域での活動は、脱炭素化を目指す意味で、ドイツ社とモビリティ業界全体にとってさらなる成長と新たな機会を提供するだろう。

出典1 2 写真コピーライト iStock.com/gorodenkoff