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ドイツでEV購入が大きく伸長 連邦経済省「過剰な助成」回避の意向 

ドイツ連邦政府は電気自動車(EV)を対象とした複数の特別プログラムを停止し、それにより過剰な購入補助金を回避したい意向だ。8月19日、ドイツ経済省報道官は、現在、複数プログラムによる多重の補助金を回避すべく検討中であることを認めた。

ドイツ連邦政府は新型コロナで落ち込んだ景気対策として、EV車両購入時の補助金を増額する政策を6月に発表。また、連邦各州政府もこれを支持し、単に景気浮揚を掲げるのではなく、サステイナブルな社会形成に一層寄与する独自の追加プログラムを打ち出していた。この政策が功を奏し、ドイツではEV車両の新規登録台数は、2020年前半期顕著に伸長。

ところが、この複数のEV関連補助プログラムの併用は今後できなくなるであろう。この政策転換により、EVなどの購入時の新車購入補助金であるいわゆる「環境ボーナス(Umweltbonus)」を申請する場合は、他の公的資金の助成が併用されていない場合に限定されることとなる。

ドイツ連邦政府と各州政府による一連のEV、水素燃料電池車両促進の特別プログラムは数億ユーロを超える。下記は、その例の一部:

  • ドイツ連邦政府「ソーシャル&モバイル」プログラム(介護施設等の社会福祉活動のために共同で運営するフリート車両の電動化を目指す。2億ユーロ規模の特別プログラム)
  • ドイツ連邦交通省「クリーンエア」プログラム (タクシー、レンタカー、カーシェアリングの迅速な電動化を目指す)

なお、「環境ボーナス」は水素自動車にも適用されるため、「水素と燃料電池技術革新国家プログラム」も大きく影響を受けることは必須だ。

今回の連邦経済省の政策転換はまさに寝耳に水。複数の助成プログラムの併用が可能だったことを条件に独自の促進プログラムを策定していた連邦他省、そしてNRW州も含め、各連邦政府は今後対応に追われることになりそうだ。実際に、どの各種プログラムが影響を受ける対象となるのか等、検討されているという。

ドイツリース事業者全国連盟(BDL)は政策転換の一報を受け、即座に反応。「新車購入補助金を増額する一方、既存の特別プログラムにブレーキをかけること自体矛盾している。リース会社はこれまでの補助金制度を基にリース料金を計算しているのに!」と、クラウディア・コーネン専務理事は批判した。

今後、連邦政府や各州政府、またその他イニシアチブの対応を見極める必要があるが、消費者や社会のマインドは「サステイナブル社会」の構築であることに揺るぎはない。ドイツの魅力あるe-モビリティ市場に益々注目したい。

参考資料:ハンデルスブラット 8月19日