日本企業のドイツ・欧州市場でのリアルなビジネスについて、NRW.Global Business Japan 代表の川久保がインタビューする「ドイツ進出、成功の鍵は?」シリーズ。
第8弾は、世界中で愛用されるバタフライ・ブランドで名を馳せる卓球用品総合メーカー「株式会社タマス」を東京阿佐谷の本社に訪ねた。
ドイツ進出から50年以上。そのドイツ現地法人設立のきっかけとなったのは、「第三者による無断での商標登録トラブル」だったという。ドイツ拠点の役割や今後の展望を、株式会社タマスおよびタマス・バタフライ・ヨーロッパ(ドイツ現地法人)代表取締役社長の大澤卓子氏に伺った。
同社内にはサプライヤーを務める卓球ドイツ代表や日本代表の写真、また卓球黎明期のラケットなどが展示され、歴史を視覚でも捉えられる工夫が随所にみられた。
以下はインタビュー動画(全編日本語)からの抜粋。ぜひ本編をご覧いただきたい。
➖ NRW.Global Business Japan代表・川久保(以下、NGB Japan 川久保)
企業紹介をお願いします。
➖ 株式会社タマス 代表取締役社長 大澤氏(以下、タマス 大澤社長)
卓球全日本チャンピオンの田舛彦介が「自らの手で理想の卓球用具を作りたい」という思いから1950年に創業した卓球用品の総合メーカーです。また、当社の「バタフライ」というブランド名には「選手を花にたとえるならば、私たちはその花に仕える蝶でありたい」という願いが込められています。
そして、メイド・イン・ジャパンの品質にこだわり、世界198の国と地域に製品を届けています。
➖ NGB Japan 川久保
ドイツ進出は1973年と、早かったですね。しかもNRW州クレーフェルトの拠点はヨーロッパで唯一の拠点です。その経緯と役割は?
➖ タマス 大澤社長
ヨーロッパ地域での市場管理や知的財産権の管理を目的にタマス・バタフライ・ヨーロッパ(TBE)を設立しました。
同社設立前から、欧州の選手がより積極的に当社新製品を使用してくれて、高い評価を得ていました。(そんな中)第三者による無断での商標登録トラブルが起こり、この解決に大きな支援をしてくれたのが販売代理店の代表でもあった法学博士ベラ・シモン氏で、シモン氏と一緒にTBEを立ち上げたのです。ですから、設立当時は特に知的財産権の管理に力を入れました。
TBEの主な役割は120の国と地域への製品販売で、ヨーロッパ全土、アフリカ、中東、中央アジアと幅広い地域となります。
また、欧州で活躍するおよそ140の選手のサポートも行っています。
➖ NGB Japan 川久保
(最初の拠点だった)NRW州メールスから2016年にクレーフェルト市に移転する際に、NRW州や同市経済振興公社からどのようなサポートがあったのか、教えてください。
➖タマス 大澤社長
事業拡大に伴い施設を拡張しようとなり、工業地を広げていたクレーフェルトが好条件でした。その際、建設許可・土地利用許可など色々な手続きが必要となるわけですが、クレーフェルト市は明確なガイダンスを提供してくれましたので、円滑で効率的に、許認可手続きを進めることができました。
また地方行政の専門的なサポートで、信頼できる従業員も確保でき、設立当初2名だった従業員数は、今や約40名まで成長しました。整備されたインフラがあり、工業地を確保しやすい環境で、協力的な支援を得られることは魅力的だと思います。
➖ NGB Japan 川久保
今後の海外展開 でのチャレンジは?
➖タマス 大澤社長
世界選手権が2026年には100周年となり、記念の年となります。当社はボールスポンサーとして大会を応援いたします。また、ヨーロッパでさらなる卓球の発展普及に貢献したいと考えている他、可能性のあるアフリカや中東での市場の強化も図りたいと思います。
Open the Worldを合言葉に、卓球で世界中の人たちをつなぎ、卓球を通じて世界をもっと幸せにしたいのです。
インタビュー動画 (約15分)はこちらから>>
株式会社タマス / Tamasu Butterfly Europa GmbH (TBE) 公式ホームページ https://www.butterfly-global.com