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ドイツ銀行リサーチ ドイツはコロナ禍で力強さと連帯を示す

ドイツ銀行のエコノミストは、ドイツがコロナ危機を克服する上で重要な要素として、持続的成長を目指す企業、国民皆保険制度、ならびに公的機関への高い信頼感を挙げた。またドイツは他の先進国と比較し、不況を上手く切り抜けるだろうと予測した。広範な支援策を実施するNRW州は不況脱出に向けて大きな貢献を果たす。

今年3月にドイツでコロナ感染者数が急増し始めたとき、ドイツ政府は状況悪化に備え、早急に大規模な対策を講じた。ドイツ全体を対象にロックダウン措置を取り、接触および業務制限措置を課した。同時に、政府は包括的な感染防止策と経済対策を開始。これらの対策の効果が今、見て取れる。

ドイツ連邦政府とNRW州政府は「NRW州・緊急経済対策」を通じて、州内だけでも、これまでに42万6000人強の個人事業主、フリーランサーおよび小規模企業を対象に、45億ユーロ以上を支出した。ドイツ16州の中で、これほど多くの申請がが行われ、これほど多くの給付金が支払われたのはNRW州だけだ。さらに NRW州保健省が発表した調査では、市民の間に強い助け合いの気持ちが生まれていることが分かった。NRW州の半数以上の市民が、コロナ禍で苦境にある隣人を手助けする用意があると答えている。

また、ドイツ銀行はコロナ危機を克服する手立てとなる6つの構造的要因を特定した。ひとつ目の要因は機能する医療体制。国民一人当たり十分な集中治療病床と医師を備えている必要がある。ふたつ目に挙げられたのは国の連邦制度。これは、各州政府がリスク状況に応じて、地域レベルで個別決定出来ることを意味する。同時に、国民が対策を受け入れる上でも役立っている。

3つ目の要因として、調査で同じように高評価だったのは、均衡財政を目指すドイツの保守的な財政政策だ。経済が好調な時期に緊縮財政を行ったからこそ、今、大型の支援策を講じることが可能との意見が多かった。4つ目の要因は、手厚い受皿として効果を発揮した社会保障制度だ。特に時短手当は、企業や労働者にとって、コロナ感染拡大で引き起こされた経済危機を回避するための有効な手段となった。

コロナ危機から脱するために役立つさらなる要因として責任感と信頼も挙げられた。特に中堅企業では、コロナ感染拡大を受け、経営者と労働組合が経済と社会の両面に配慮した責任ある行動を取ったと評価された。またコロナ禍で社会は多額の支出と負担が強いられている。しかし、市民の公的機関と安定財政に対する信頼感があるからこそ、今の苦しい時期を乗り越え易いとの分析だ。

今回のドイツ銀行の調査では、ドイツは国際比較でコロナ危機からより強く立ち上がるだろうと予測された。即ち、ドイツが担う責任もまた、いや増すということだ。2020年7月21日、欧州理事会は2021〜27年のEU予算を決定したが、加えて7500億ユーロのコロナ復興基金も採択した。ドイツはこの画期的な合意に基づき、ヨーロッパ内で、財政面でもこれまで以上に尽力することになるだろう。

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