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NRW州に量子コンピュータ  EU最先端研究拠点で進出日本企業にもチャンス 

NRW州に量子コンピューティングセンターが登場する。 6115人の職員を擁する欧州最大級の研究機関「ユーリッヒ研究所」は、2021年までにJUNIQポータル(量子コンピューティングのユーリッヒ・ユーザーインフラ)の主要コンポーネントとして、カナダのD-Wave社から量子コンピュータを手に入れる計画だ。これによりNRW州はヨーロッパで量子コンピューティングへのアクセスを獲得した最初の2拠点のひとつとなる。

通常のコンピュータとは異なり、量子コンピュータは古典的な物理学や情報科学に基づいて動作せず、量子力学に基づいて機能する。この機能を使用すると、大きな数字の因数分解、多数の可能な組み合わせでの問題解決、大量のデータ(データベース)の検索など、情報科学と数学が抱える特定の問題をより迅速に解決できる。量子コンピュータの実用的な応用分野としては、まずは物流と交通マネジメントにおける最適化が考えられる(例:物流ルートの最適化)。量子コンピュータの機能の理解はまだ完全ではないものの、従来は難しかったタスクを短時間で解決できるため、21世紀の重要技術のひとつと考えられている。

NRW州とドイツ連邦政府はユーリッヒ研究所のJUNIQプロジェクトに夫々500万ユーロを投じて助成する。NRW州に拠点を置くユーリッヒ研究所は実用的な基礎研究分野にその強みを持つため、このプロジェクト推進に最適な機関だ。同研究所では量子材料および量子コンピューティング分野の基礎研究を、具体的なアプリケーション開発と組み合わせて取り組んでいる。JUNIQプロジェクトは、「OpenSuperQ」と呼ばれるEU研究イニシアチブ「Quantum Flagship」の一部に組み込まれており、2018年10月からの3年間で1030万ユーロの予算が投じられている。

なお、NRW州政府は5000万ユーロを拠出して、2025年までに量子材料の研究から独自の量子コンピューターのプロトタイプ開発までを行うヘルムホルツ量子センター(HQC)を、ユーリッヒ研究所内に建設する計画で、同分野でヨーロッパ最先端研究拠点としての地位を確固なものにして行く意向だ。

ユーリッヒ研究所のJUNIQプロジェクトは、量子コンピューティングの実用化に向けた研究ギャップやニッチな機会を補うだろう。同研究所はヨーロッパ中の研究者や業界、そしてNRW州に拠点を置く日本企業にも勿論オープンだ。

この記事に関する質問やユーリッヒ研究所とのコンタクトを希望される場合は、是非ご連絡を。→ NRWジャパン: contact@nrw.co.jp

参考資料 1  2  3