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EU一般データ保護規則(GDPR)導入から2年 企業アンケートを実施 

ドイツIT・通信・ニューメディア産業連合会(Bitkom)は、EU一般データ保護規則(GDPR)の経済への影響とその取扱い方法について、 従業員数20人以上の企業603社に電話でのアンケートを実施した。それによると、今回の調査結果は産業界全体に当てはまるとのことだ。

Bitkomは今回の調査を基に、GDPRがNRW州やドイツ、そしてヨーロッパの経済と革新力へもたらす影響についての報告書をまとめた。同報告書では、GDPRの規制が新技術の導入を大きく妨げており、またこうした傾向は、デジタル技術が必要とされるコロナ危機下において顕著になっていることが指摘されている。こうした傾向を表す例として、教師達がデータ保護の観点から、機能的なオンライン学習ソフトウェアを使用することへの“困難”、または“禁止されているよう”に感じているといったことが挙げられている。また、もうひとつの代表的な例としては、コロナパンデミック下での接触確認用および感染防止用のコロナアプリの開発がある。Bitkomの調査によれば、「データ保護の懸念が、その他の権利(例:身体を害されない権利、集会の自由、営業の自由、学校教育を受ける権利)よりも極端に優先されている」とのことだ。

その一方、GDPRはデータ保護の意識向上に貢献し、世界でも先駆的取り組みとして強い存在感を放っていると言える。しかし、昨年(2019年)の調査では4分の3(74%)が、2018年は3分の2(63%)の企業が「データ保護の要件は最新テクノロジー利用時に最大の障害と考える」と回答していたのに対し、今回の調査でこのように回答した企業の割合はおよそ10社につき8社(79%)にまで増加している。

Biktomは報告書で、これまでの法規制を改善する重要なステップを提案している。それは、様々な企業形態(社団法人、スタートアップあるいは大企業など)を、より明確、かつ実用的に区別することだ。確かに、すでに例外規定は設けられてはいるが、それを適用するにはハードルが高すぎるため、実際にはそういった例外規定はほとんど利用されていない。報告書の中ではさらに、研究分野における、データ利用のハードルを引き下げる必要性についても指摘されている。こうした規制緩和は、特にEU全体の医療関連プロジェクトにおいては尚更重要であるとのことだ。

Bitkomは、今回の調査により、デジタル社会の未来にとって重要な問題をクローズアップした。ヨーロッパの未来にとっては、ヨーロッパ発の有望な新テクノロジーを助成することが肝要だ。しかし、その一方で、民主的な基本的権利と三権分立が侵されることがあってはならない。つまり、データ保護と権利保護の間に生まれている緊張関係の中で、適切なバランスを見つけることが、NRW州やドイツ、またヨーロッパで輝かしい未来を築いていくには必要不可欠ということだ。

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