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3Dコンクリートプリント技術がドイツ建設業界で実用化 初の建造物がNRW州に

ドイツ初の3Dプリント住宅がNRW州北東部ベックム市に建設されている。ドイツ南部の町ヴァイセンホーンに本社を置くペーリー(PERI)社は、デンマークのCobod社の3Dコンクリートプリンター「BOD2」を利用し、1フロアあたり約80平方メートルの居住空間を持つ2階建ての戸建て住宅を建設する。

3Dコンクリートプリンターのプリントヘッドは、固定金属フレームの3軸上を移動し、最大秒速1メートルで印刷する。このベックム市の3Dプリント住宅は、2021年3月に完成の予定。完成後1年半は一般公開され、その後、実際の入居が可能となる。

設計を担ったのはベックム市の設計事務所メンゼ・コルテ(Mense-Korte)社。断熱材を充填した三層壁の構造を持ち、水道や電気配管を後で敷設・接続できるように、あらかじめ考慮に入れた3Dプリントの工程が設計されている。

このパイロットプロジェクトには、複雑な許認可手続きも含め、実に多数の関係者が協力している。発案者かつ発起人はベックム市の起業家ゲオルギオス・スタイコス(Georgios Staikos)氏で、設計は上述の通り。そして、同市スタートアップのHous3Druck社が施主として参加している。

また許認可手続きでは、エンジニアリング事務所シースル・ゲーレン・ゾダイカート(Schießl Gehlen Sodeikat)社がサポート。また材料試験と認証試験はミュンヘン工科大学が実施した。そして、ハイデルベルクセメント社がこのプロジェクト用に特別に「i.tech 3D」というコンクリートを開発し、3Dプリンター「BOD2」で使用できる仕様に完成させた。

「BOD2」プリンターは、3Dプリント中も印刷室で作業する認可を得ているため、配管や接続などの手作業をプリント工程に簡単に組込める。ただ課題として上げられるのは、さらなるコスト削減だ。

NRW州建設省はこのプロジェクトに20万ユーロの資金援助を行っている。同省のシャレンバッハ大臣は「NRW州イノベーションがドイツのために生かされる。将来の建設業の展望を開くのが、デジタルを活用した印刷技術だ。ドイツ初の3D住宅がNRW州に建設されることを誇りに思う」と述べた。

この3Dプリントでは、壁の間に使用するポリスチレンが不要となり、また住宅解体後に材料を再利用できるため従来工法よりも省資源となる。きっと、このプロジェクトは世界中の建設業界のモデルとなるに違いない。

このような革新的な技術が、多数の国内外パートナーとの協力のもと、NRW州で迅速に実用化されていることは、NRW州が3D建造物の先駆者である証左。ドイツでは次の3D住宅プロジェクトの準備が進んでいるという。

写真コピーライト:Peri GmbH

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