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ドイツ銀行リサーチレポート 景気対策もドイツ流

ドイツ連邦政府とドイツ連邦銀行は、第3四半期の国内総生産(GDP)が僅かながら低下するとの試算を発表した。2019年第2四半期にGDPは既に0.1%低下しており、少なくとも数値的にはドイツはリセッション(景気後退)に入ったことを意味する。

欧州中央銀行(ECB)や国際通貨基金(IMF)やその他EU諸国などからは、ドイツ政府に景気対策実施を促す声が聞かれる。ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏はドイツの財政政策を硬直的であると捉え、それが世界経済に問題を波及させていると批判している。しかし、同氏の予測が外れたこともある。1998年、同氏はインターネットが経済に与える影響について次のように予測したのだ。「2005年以降に明確になるのは、インターネットが経済に与える影響は、ファクシミリ機の登場で生じた影響より大きくならない」と。

アルトマイヤー連邦経済大臣は景気後退の回避は当然国の任務であるとしつつ、しかし、予防的且つ包括的な景気刺激プログラムの実施には反対している。ドイツでは反景気循環的な財政政策を支持する声がむしろ多いのだ。ドイツの財政政策に批判的な専門家は、市場のマイナス金利を利用し、今まさに、成長促進政策の資金調達を実施すべきと提言している。成長促進政策によってGDPが上昇すれば、実質的には負債を賄っていけるというのがその理由である。事実、2008年の金融危機の際には多くの国が、政府の需要を増やし民間需要の落ち込みを相殺する政策をとり、金融危機を軽減した経緯がある。しかし、その後、一度発動した景気刺激プログラムを取りやめるのに苦労した国が多かったことを肝に銘じたい。2008年から10年以上経過した今、国家債務は世界中で2008年比24%上昇している状況だ。

経済の冷え込み初期においては、冷静さを保ち、負債をもたらす景気刺激策を実施するのではなく、従前からのインフラ・教育投資を着実に継続することが、経済の長期的強化につながる。

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