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ケルン大都市圏 ブロードバンド網整備でドイツトップ 光ファイバーカバー率No.1はライン大都市圏

デジタル化は、特にコロナ下で、一般世帯や企業を含めるあらゆる生活場面で大きく進歩した。デジタルアプリケーションが機能するための前提条件には、高度なインフラ整備の構築がある。進出拠点を決定する上で重要な要素になっているのが、ブロードバンドネットワーク、つまり高速インターネットが整備されているか否かだ。

比較ポータル「Verivox」が、ブロードバンド整備状況を示す「ドイツ・ブロードバンドアトラス」を公表した。それによれば、ケルン市がミュンヘンとハンブルクを押さえ、整備率約80%でドイツトップとなった。Verivoxは、建物まで引き込む実際の高速光ファイバー回線数(FTTB / "Fiber to the Building")、並びに家庭まで引き込む高速光ファイバー回線数(FTTH / "Fiber to the Home")を基にして、ドイツ国内の20大都市を比較した。

一方、光ファイバーに目を投じると首都ベルリンでのカバー率はわずか5%で、ドイツの他の100万人都市と比較して出遅れている。しかし、NRW州にもドルトムント、ボーフム、ミュンスター、デュッセルドルフまたエッセンなど、カバー率が最大で5%という大都市もある。ただ、これは光ファイバーケーブルのプロバイダーにとって、今後、大きなビジネスチャンスを意味する。

Verivoxの電気通信専門家であるイエンツ=ウーヴェ・トイマー氏は「人口密度の高い地域ではケーブル・ネットワークの整備が進んでいる。ケーブル・ネットワークでも通信速度は満足できるレベルなので、大手ネットワークプロバイダーは光ファイバーの前段階として、ここに投資しているのがその背景にある」と分析した。

これに対し、ケルンやミュンヘンなどの都市で高速ブロードバンド基盤整備が進んでいる理由は、大手電気通信グループとローカルプロバイダー(ケルンのNetCologne社やバイエルン州のM-net社など)の密接な協力にある。ボンに本社を置く電気通信大手ドイツテレコム社は、コロナ禍にもかかわらず、今年、5万km以上の光ファイバー回線を新たに整備するとし、高速ブロードバンド基盤整備の推進を強調した。

加えて第5世代通信技術(5G)の整備も続く。4月初旬、テレコム社とエリクソン社は、パブリック5Gとは独立したプライベート5Gの運用をアーヘン工科大学で開始した。産業用アプリケーションをほぼリアルタイムで実現する5Gの分野においても、日本など海外パートナーとの協力のチャンスが多いにある。

これらの整備状況に鑑みて、4月末、ドイツ通信サービス業者の業界団体であるVATMは、今年半ばまでにドイツ全世帯の半数以上で、ギガビットネットワーク通信回線の利用が可能になると予測した。ドイツ全世帯の約51%が利用可能になれば、利用者数は2019年末比で約550万人の増加となる。高速ブロードバンドの整備において、ドイツが猛烈な勢いでキャッチアップしている様が伺える。

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